厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの平均有給休暇取得日数は10.9日でした。
結論として平均より多い11日以上の有給休暇を取得しているならほぼホワイト企業と言えるでしょう。
もちろん有給休暇の取得率の高さだけでホワイト企業だと断定はできません。
年間休日数や月間残業時間数、離職率、平均勤続年数などの数字と共に、数字に表れないパワハラセクハラモラハラ、過剰ノルマなどさまざまな要素があるので、実際にそのカイシャで働いてみないとホワイト企業かどうかは判断できません。
しかし、年間有休休暇が11日以上あるなんてそれだけでかなりホワイトと言えます。
そもそも地方中小企業でハタラいているわたしらなんかは有給休暇様にはお目にかかったこともないw。
有給休暇は年間休日数とは別腹(もとい、別枠)ですから、ホワイトじゃない企業にとっては消化のハードルが高いのですよw。
2019年4月からの年5日の有給休暇の取得義務化などありましたが、コロナ危機などをまたいであまり重視されなくなっているのが実態じゃないでしょうか…。
平均有給休暇取得日数は何日からがホワイト企業なのか
✓ ホワイト企業の認定基準
✓ 年次有給休暇の付与と取得の重要性
✓ 平均有給取得日数とホワイト企業の関係
まずはホワイト企業の基準を知ることが大切です。自分がハタラいているカイシャが客観的にみてホワイトなのか否か確認する基準をご紹介します。
ホワイト企業の認定基準
年間休日125日以上
労働基準法では週の労働は40時間以内としているので、1日8時間/週5日勤務で丁度になります。(36協定を除くw)
1年間は52週間なので、週2日休み×52週で年間休日104日が最低基準となるはずです。
それに年間の国民の祝日16日とお盆の3日間と1月2日3日を足したのが、年間休日125日です。
年間休日125日以上からが日本国民として与えられるべき休日日数の登竜門なのです。
つまりホワイト企業への入り口です。
▷ 年間休日105日以下の企業はやめとけ。週休2日制にだまされるな!
月間残業20時間以内
月の労働日数がほぼ20日であると考えると、1日1時間の残業ということで適度と言えますね。
給与に固定残業代が含まれていない
ブラック企業はほぼ固定残業代を導入しています。新卒や中途社員を採用するときの募集月給が高く見せられるというメリットが企業側にあります。
一定の残業時間が最初から労働時間に組み込まれているので、長時間労働の温床になる怖ろしいシステムです。
しかも固定残業代分の労働時間を超えた超過労働時間を残業時間として計上しない(つまり支払わないw)企業が多いのが実態です。
離職率が低い・平均勤続年数が長い
もちろん、社員が辞めずに長く働いているカイシャはいいカイシャと言えます。
ただし、わたしの勤務先のように中高年のシャインが多くのさばっているので、中高年ロートルw!シャインの離職率が低いために平均勤続年数が長いだけのカイシャもあります。
中高年シャインと新入シャインの数が多く、働き盛りの30代~40代のシャインが少ないカイシャはヤバイと言えるでしょう。
シャインの年齢構成ピラミッドも見られると良いですが、そこまで公表しているカイシャはあまりないでしょうし、そこまで公表しているカイシャは自信満々のホワイト企業と言えるでしょう。
教育・評価制度が充実している
だいたいブラック企業ほど人手不足で人材教育にヒトも時間もかけられません。
また、客観的な評価制度も整備されておらず、上司の主観(=独断と偏見)による部下の評価がまかり通る企業では不公平感が強くなり定着率は上がりませんよね。
\参考記事/
▷ 人手不足でざまあみろの会社の特徴は?中高年でも退職する場合は
過剰なノルマがない
仕事において売り上げ目標を立てるのは大切なことですよね。
KPI(中間目標)の積み重ねが売り上げ目標の達成につながります。
ただし、到底達成不可能な目標を設定したり、目標を達成できなかった時に自腹購入やペナルティを科すのはヤバイブラック企業です。
▷ やばい会社の見分け方!やばい会社・ブラック企業の特徴をあるあるで紹介
上司が威圧的でない
数字では表れない部分なので調べるのは難しいですね。
企業のホームページなどを見れば社風のいったんは垣間見られそうですが、プロの作成した美辞麗句の媒体に実態が現れるわけはありません。
社風はカイシャの口コミサイトが一番わかりやすいです。口コミにシャインの本音が現れているので、自分だけでは知りえない情報を得て知見が広がりますね。
▷ 中小企業の2代目社長は頭おかしいんじゃない?という事実の検証
有給・育休・介護休暇が取得しやすい
中小企業はシゴトが属人的なので、イレギュラーな休暇は取得しづらい環境です。
人員が少なく、ヒトにシゴトをつけているので、そのヒトがいないとそのシゴトは廻らないシステムになっています。
誰でもあなたの代わりができるシステムが構築されているのがホワイト企業でしょう。
年次有給休暇の付与と取得の重要性
2019年4月に労働基準法が改正され、全ての企業において年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
厚生労働省HPより
労働者に年5日の有給休暇を取得させることは企業の義務なのですが、地方中小企業などのおいてはかなり忘れ去られていますねw。
コロナ蔓延で企業活動がやばかった時に、企業延命のために強制捜査することを何となくうやむやにして今にいたります。
本来有給休暇の取得を推進しないといけない労働集約型の企業ほど取得のハードルが高いのは現実です。
平均有給取得日数とホワイト企業の関係
冒頭にも述べたように令和5年の労働者1人あたりの平均有給休暇取得日数は10.9日なので有給休暇取得日数だけを見れば年間11日以上所得できればホワイト企業と言えます。
ホワイト企業の認定基準は年間有休休暇取得日数だけではない様々な要因があるので、一概にいうことはできません。
しかしながら有給休暇が年間に11日も取得できている意識高めの企業であれば、その他の認定基準でもほとんどの案件でクリアしているに違いないと言えるでしょう。
平均有給休暇取得日数が多いカイシャはなぜホワイト企業といえるのか
✓ 有給休暇を申請しやすい社風がある
✓ 会社に社員の休みを増やす余裕がある
✓ 社員のプライベートと仕事の両立を考えている
平均有給休暇取得日数が多いだけでホワイト企業とは言えませんが、ホワイト企業を決める最重要な指標です。平均有給取得日数が多いのには理由があるからです。
有給休暇を申請しやすい社風がある
有給休暇はシャインからの申請により取得するものです。
なのでいまだに有給の申請は上司にイヤな顔をされるので気をつかう場合が多いでしょう。
「時期を考えろよ。」とか威圧的な嫌味も帰ってくるかもしれません。
したがって、ストレスなく有給休暇を申請できるのがホワイト企業です。
会社に社員の休みを増やす余裕がある
地方中小企業などは経常利益に余裕がないので余剰人員を雇う余裕資金がありません。
というよりは、目の前の利益を搾り取ることしか考えて経営していないので、余剰人員は雇わないというのが実態でしょう。
シャインにしっかりと休みを与えて健康経営を考えているトップがいるカイシャはホワイト企業と言えるでしょう。
しかし残念ながらニホンのほとんどの企業のトップは高度成長期の24時間戦えるジャパニーズビジネスマンの理想に取り憑かれていて頭を切り替えられてはいません。
社員のプライベートと仕事の両立を考えている
自社のシャインを財産=人財と考えてシャインの健康や人生設計のことまで考えて有給休暇取得日数を多くしているならホワイト企業ですね。
良い人材を長期的に確保することが廻りまわって、企業の繁栄につながることがわかっているカイシャはホワイト企業なのです。
転職市場でホワイト企業を見つける方法
✓ 求人情報での企業の見分け方
✓ 転職エージェントと転職サイトを活用するコツ
✓ 就職活動でホワイト企業を見つける秘訣
ここまで読んで自分のカイシャが有給休暇取得率の低いヤバイカイシャだと分かったら転職市場でホワイト企業を見つけてみましょう。
求人情報での企業の見分け方
求人票などをもとに年間有休休暇取得日数を調べてみよう。
✓ 企業の採用ホームページをチェックする
✓ ハローワークの求人票を見る
▷ 在職中の転職にもハローワーク!ハローワークインターネットに登録しよう
✓ 会社四季報を見る
✓ 転職サイトに登録して求人を見る
✓ 転職エージェントに登録してエージェントに聞く
企業人事部の立場からすると、新卒のハロワの求人票やマイナビ・リクナビ新卒のサイトなどの必須記入項目欄に年間有休休暇取得日数の記入欄があるので、その辺を調べれば必ず出ているはずです。
転職エージェントと転職サイトを活用するコツ
転職エージェントはエージェントがあなたの志向に合った求人を紹介してくれるので、日々の労働で忙しい人におすすめです。
転職サイトは、自分の転職希望先の青写真がある程度描けているヒトが就活するのに最適です。
今どきの転職はまず転職サイト探しからです。ホワイト企業でハタラく未来の自分を夢みるなら自分に合う転職サイトを探してみよう。
▷ 50代中高年におすすめ転職サイト7選を実際に使ってみたランキング
就職活動でホワイト企業を見つける秘訣
ホワイト企業を見つける基準として、ユースエール・えるぼし・くるみん・健康経営優良法人などの厚労省や経産省の認定を受けている会社を探すのも一つの指標になります。
ユースエール・・・若者の採用や育成に積極的で雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度
えるぼし・・・女性活躍推進法に基づいて女性の活躍を推進している企業が取得できる認定制度です。
くるみん・・・「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で仕事と育児の両立支援に取り組むという意味で子育てサポート企業として厚生労働大臣に認定された証です。
健康経営優良法人・・・2016年に経済産業省が創設した、特に健康経営を実施している企業法人を“見える化”することで従業員や求職者、関連企業や金融機関から評価をうける環境を整備するための制度です。
いずれも取り組んでいる企業をホームページなどで公表しているので確認してみると良いです。また、求人情報などで自らアピールしている企業も多いのでそれぞれどんなホワイトな認定なのか抑えておきたいですね。
わたしも自社を認定できるかな?と概要をみたこともありましたが、国の認定制度なので取り組みがハンパな企業が取得できるような簡単なものではありませんw。
従って、これらの制度のいずれかでも認定されている企業は、かなりのホワイト企業と言えます。
平均有給休暇取得日数は何日からがホワイト企業なのか?に関しての疑問
✓ 労働者の有給取得日数はどのように算出されていますか?
✓ 業界ごとの有給休暇の取得日数の平均はどうなっていますか?
✓ 企業規模ごとの有給休暇の取得日数の平均はどうなっていますか?
✓ 企業はなぜ有給休暇の取得日数を公開しているのでしょうか?
✓ 最近、有給休暇の取得が頻繁に話題になりますが、その背景は何ですか?
労働者の有給取得日数はどのように算出されていますか?
この有給休暇の取得は国が決めたもので、ニホンのすべてのカイシャに当てはまるわけです。
しかし社会人として世の中に出てから大切なことは学校もカイシャも教えてくれないのでよく理解していないヒトの方が多いのが実態ではないでしょうか。
週1日勤務のパートさんでも6カ月勤務すれば1日の有給休暇が付与されます。
通常の正社員であれば6年6ヶ月勤務すれば最大値の毎年20日間の有給休暇が付与されます。消化されない分は翌年に持ち越され、また20日間付与されますが昨年分は2年以内に消化しないと消滅します。この繰り返しですね。
業界ごとの有給休暇の取得日数の平均はどうなっていますか?
令和5年度の資料です。
労働者1人 平均付与日数 | 労働者1人 平均取得日数 | 労働者1人 平均取得率 | |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 18.7 | 11.9 | 63.5 |
建設業 | 17.8 | 10.3 | 57.5 |
製造業 | 18.7 | 12.3 | 65.8 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 19.6 | 14.4 | 73.7 |
情報通信業 | 18.6 | 11.8 | 63.5 |
運輸業,郵便業 | 17.4 | 10.3 | 59.1 |
卸売業,小売業 | 17.5 | 9.7 | 55.5 |
金融業,保険業 | 19.0 | 12.1 | 63.4 |
不動産業,物品賃貸業 | 17.3 | 10.6 | 61.3 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 18.5 | 11.9 | 64.2 |
宿泊業,飲食サービス業 | 13.6 | 6.7 | 49.1 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 16.2 | 10.1 | 62.3 |
教育,学習支援業 | 17.9 | 9.8 | 54.4 |
医療,福祉 | 16.4 | 10.7 | 65.3 |
複合サービス事業 | 19.3 | 14.4 | 74.8 |
サービス業(他に分類されないもの) | 16.4 | 10.8 | 65.4 |
令和4年調査計 | 17.6 | 10.3 | 58.3 |
宿泊業・飲食サービス業が際立って悪いのが目を引きます。
それでも飲食業勤務のわれわれに言わせれば「そんなに取れてるの⁈」というのが実態ですねw。
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企業規模ごとの有給休暇の取得日数の平均はどうなっていますか?
これも令和5年度の資料です。
企業規模 | 労働者1人当たりの 平均付与日数 | 労働者1人当たりの 平均取得数 | 労働者1人当たりの 平均取得率 |
1000人以上 | 18.3 | 12.0 | 65.6 |
300~999人 | 18.0 | 11.1 | 61.8 |
100~299人 | 16.9 | 10.5 | 62.1 |
30~99人 | 16.9 | 9.6 | 57.1 |
令和5年度計 | 17.6 | 10.9 | 62.1 |
当然のようにどの数値も企業規模が大きいほど取得率は高いです。
しかし、過去にも未来にも有給休暇を取得したことが一度もないわたしなんかやその周りのヒトたちから考えると「これホントの数字なの⁈」といぶかしくなりますねw。
企業はなぜ有給休暇の取得日数を公開しているのでしょうか?
✓ ホワイト企業 ➡ 有給休暇取得日数を公開して自社の多くの求人を集めたい。
✓ ホワイトじゃない企業 ➡ 有給休暇取得日数を公開すると取得日数が少なくホワイト企業じゃないのがバレてしまうが、ハローワークの新卒求人票やマイナビ・リクナビなどの新卒求人サイトに記入必須事項と出ているので公開せざるを得ないw。
最近、有給休暇の取得が頻繁に話題になりますが、その背景は何ですか?
年間休日日数が100日も取らせられない、労働集約型の中小企業が山ほどあるのが実態です。
ましてや有給休暇なんて簡単に取らせられない。なのでわたしの勤務先のように病欠で既定の休日日数を超えてしまった場合くらいでしか使用できないのが多くの中小企業の実態ではないでしょうか?
ところがどこかで聞きかじった知識で有給休暇の取得を声高に主張するシャインがどんなカイシャにも数人います。
法律上正しい主張なので企業は対応に四苦八苦してトラブル(労働争議)の種にもなります。
わたしは経営者ではありませんが、中小企業の経営者的立場に立って言わしてもらえば、有給休暇の制度はニホンの労働環境実態を無視したムチャ振りな制度と言えますねw。
まとめ:平均有給休暇取得日数は何日からがホワイト企業なのかの検証
平均有給休暇日数だけでホワイト企業と断定はできませんが、平均有給休暇取得日数が11日以上などのカイシャはホワイト企業の確率がかなり高いと言えます。
平均有給休暇取得日数プラス
✓ 年間休日日数
✓ 月間残業時間数
✓ 離職率
✓ 平均勤続年数
などの数字を調べましょう。
✓ 給与に固定残業代が含まれているか
✓ 教育・評価制度が整備されているか
✓ どのような福利厚生があるか
なども求人票や企業ホームページ・口コミサイトで調べましょう。
さらなるホワイト度を追求したければ
✓ ユースエール
✓ えるぼし
✓ くるみん
✓ 健康経営優良法人
なども調べると完璧です!